ベンチャー?スタートアップ?正しい英語の表現方法とは?

ベンチャー 英語

 こんにちは、アメリカのVR英会話レッスンスタートアップ「イマース(immerse)」が運営する英語学習メディア「イマースラボ」で英語を研究している研究員の「KAHO」です。

 最近の日本社会では、10代をはじめとする若手の起業家が大きな話題となってきていますね。昨年は、アプリケーションの開発を通して、画期的なサービスをビジネスモデル化させ、大きな注目を集めた大学生起業家も様々なメディアで取り上げられていました。

 同じくここ数年、日本で「ベンチャー企業」が大きく浸透してきたように思います。事実、就活生に欠かせなくなってきた「インターンシップ」も、ベンチャー企業で行う大学生が増えています。

 でもちょっと待って!

 「ベンチャー企業」という表現、実は和製英語だとご存知でしたか?

私も、渡米前は「ベンチャー」という言葉を特に意識をしたことがありませんでした。しかし、外国人とビジネスに関する話をしている際に、どうも「ベンチャー」というフレーズでは話が噛み合わなくなったのです。

 ここで今回意味をおさえて、自分の理想とする将来像について、正しく外国人へお伝えできるようになったら、ビジネスの幅がぐんと広がりそうですよね!

ベンチャー 起業 ビジネスシーン
Free-PhotosによるPixabayからの画像

「ベンチャー」の英語における意味 

「ベンチャー」という言葉、普段何気なく使っているけれども、英語の単語として考えてみたことはありますか?

私も「ベンチャー」と聞いてよく想像していたことは、「社長がジーンズを穿いている」、「大企業ではできないことをチャレンジする企業」、、、なんていう、まあ適当なものでした(笑)。

まずは、せっかくのチャンスなので、ここで “venture” (ベンチャー)の辞書的意味を理解しましょう。

“venture”の意味

Venture(名):
冒険的事業、投機的事業

このような意味合いから、間違いなく「新たなビジネスを始めている」という感じが伝わってきますね。

ここで、 “adventure” という単語を連想された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうです、この2単語、語源は一緒なのです!

“venture”の語源を探る

ven-, vent-:
「来る(come)」

という意味を持つ語幹が含まれています。

同じ語源を持つ単語は他にも以下の様に沢山あります。

prevent: 妨げる(動)
invention: 発明(名)
convention: 集会、会合(名)

 このように、接頭語を付け替えるだけで、関連付けてより多くの単語を知ることができるようになります。

接頭語やその他の語幹に関しては、こちらの《【英語試験対策】意味がわからない単語が予測できちゃう!英語の語幹一覧》で紹介しています。

あわせて読んでみてくださいね!

「ベンチャー」を英語で使うシーン

ベンチャー 英語 ビジネスシーン
Werner HeiberによるPixabayからの画像

では、アメリカで実際に “venture” が意味する単語が用いられるのはどういう場合なのでしょうか?

それは、以下のような使われ方をするのが一般的です。

Venture Capital:
可能性のある未上場企業に対して投資する投資会社のこと

 アメリカでは、 “capital” という単語とセットで用いられることが主流です。よく、ニュースなどでは “VC” と略されていることが多いです。余談ですが、 “capital” って多くの意味を持つ単語なんです。頻出の3つの意味を、ここでさらっと確認してしまいましょう。

Capital(名):
①首都(可算)
②資本・資本金(不可算)
③大文字(可算)

 いかがでしょうか。

 日本では「新しいサービスやビジネスを展開する企業」を指す一方、アメリカでは、そのような企業に「投資をする会社」を指すということが分かりました。

 こんなにも大きな差異があるので、違いをしっかり意識して英会話をすることで、正しい意図、そして相手にも伝わるお話ができそうですね。

ここまでのまとめ

“venture” という語の意味は日本もアメリカも同じですが、会社を指す際には、日本では、資本を「受ける側」、そしてアメリカでは「投資する側」という、全く違う意味になってしまうのです。

「ベンチャー」=新興企業?

 「新興」という言葉を耳にする機会も多いですよね。ニュースや新聞でもたびたび登場する「新興企業」。創立されて間もない企業、いわば「生まれたての企業」を意味する言葉として用いられていますよね。確かに、日本では新興企業のことを「ベンチャー企業」と呼ぶケースもあります。

しかし、“VC(Venture Capital)” という言葉について、この記事ですでに触れた以上、「新興企業」を英語ではどう表現すれば良いのでしょうか。

その答えはこちらです。

Start-up company:
新興企業、スタートアップ企業

…何となく聞き覚えがありませんか?

そうです、この記事の冒頭に実はちらっと書かれていたのです。中には気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アメリカでは投資ファンドが発達している分、多くの  “start-up company” が存在しています。

ここで簡単に、 “start-up company” の定義を見てみましょう。

“start-up”の定義

start-up company is…

– a company that is in the first stage of its operations
– often financed by the founders until the business gets off the ground

Investopedia

ここで、上記の英単語を確認したいと思います。

・operation: (名)経営

・finance: (他動)資金を調達する、融資する

・founder: (名)創設者

・get off the ground: (事業などを)軌道に乗せる 

 “start-up company” の有名な成功例と言えば、GAFA、すなわちGoogle、Apple、Facebook、Amazonをはじめ、UberやAirbnbが挙げられます。基本的に、アメリカのシリコンバレーがそうした企業の発祥地とされているので、IT関連・インターネット関連のスタートアップ企業が多くなる傾向があります。

コラム①その他の投資スタイル

 実は、 “VC” よりも早くからスタートアップ企業に投資を行う投資家が存在します。彼らのことは “angel investor” といい、日本語でも「エンジェル投資家」と呼ばれます。

 そういった個人投資家だけでなく、 “cloud funding” (クラウドファンディング)の普及も大分進んできたように思います。

画期的なアイデアやサービスを思いついた人が、それを実現するためには、まずは資金が必要ですよね。そこで自身のビジネスに興味を持ってくれた、検索をしてくれた人に、小額からでもできる資金提供を呼びかけるものです。

起業に関する実践英語

 きっとこの記事を読んでいる方の中には、起業を考えていたり、将来的に何かしらビジネスで成功を収めたいと思っている方もいらっしゃるでしょう。一方で、多くのそういったスタートアップ・カンパニーは、英語力が求められているケースがあるでしょう。

 ここから、簡単な企業に関する英単語、例文を紹介したいと思います。

起業ってなんていう?

 起業家を目指すなら、知っておくべき必須重要単語について、まずはご紹介します。

日本語英語
起業家・事業家  entrepreneur
起業家精神  entrepreneurship

 この単語で検索を掛けると、過去の成功した起業家に関する情報が得られたり、起業家になるためのきっかけを得られる記事を見つけられたりすることと思います。

 実際アメリカには、 “entrepreneurship” の授業が大学にあったり、 “entrepreneur” を育てる施設が、キャンパス内に存在していたりと、「企業家精神」を培うのに充実しているなあと思う部分も多くあります。

例文

She is a role model for many female entrepreneurs.

彼女は女性起業家にとって、模範的存在である。

  • role model: ロールモデル、模範、お手本

Entrepreneurship is required for the people who think about starting new businesses.

新しいビジネスを興そうと考えている人にとって、起業家精神は必須である。

  • start a new business: 起業する

※start my own businessでは、「自分で」起業するという意味合いを強くでき、plan my businessにすることで、起業に向けたスケジュールをしっかりと立てていることが強調されます。

コラム②起業家のススメ

日本でも近年人気が高まっている「ビジネスコンテスト」。一般的には、個人や仲間と一緒に考え抜いたビジネスプランを発表するコンテストのことです。その内容について、真新しさやプランの完成度の高さから競う大会のことを言います。

アメリカにおいてとくに有名なのが、Harvard Business Schoolで開催されるものだと思います。

毎年、 “New Venture Competition” というものが学内で開催され、出場者が短い時間で、自身のアイデアを紹介します。

以下、2019年に優勝を果たした同コンテスト出場者の発表です。

MyToolbox Wins 2019 New Venture Competition Student Business Track

非常に短い時間で紹介していて、びっくりされた方も多かったことでしょう。

実は、これは “Pitch deck”(ピッチデック) と呼ばれる、プレゼンテーションとはまた少し異なる発表スタイルです。

どんなに良い商品やアイデアであったとしても、人間ですから、長々と一方的に話されても段々と飽きてしまいますよね。という訳で存在するのが “Pitch deck” です。いかに短時間で相手(起業目的なら投資家)に対して興味を持ってもらえるかがポイント高得点の秘訣です。

 ビジネス英語の練習教材にもなるし、アイデアの思考に関しても学べる点が多いのが特徴です。レベルは高いですが、どういった話の構造かを学ぶだけでも十分な教材になることと思います。ぜひHBSの動画にチャレンジしてみてください!

まとめ

 いかがでしたか。

今回は、和製英語で間違いやすい、「ベンチャー」という単語について、そしてスタートアップという語について、様々な視点からご紹介しました。

 起業して成功するには、もはやグローバルな知見は欠かせないといっても過言ではありませんよね。また、日本に多く存在するべンチャー企業の多くも、海外ビジネス展開のために、求人サイトでは英語力を求めるような募集をしているものも散見します。

 そこで必要になるのは、間違いなく「ビジネス英会話」ですよね。義務教育や大学で学んできた内容とはまた異なった、交渉やプレゼンといったスキルが求められるような高度なものです。

 なかなか1人で上達できるものではないですし、実際のネイティブのスピード感に慣れていく必要もあり、途方に暮れてしまいがちな方も少なからずいらっしゃると思います。

そんな方に朗報です!

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